ダンパーのセッティングがなんとなく出せてきたようです。結局最弱から90度戻しじゃ全然足りなくて、180度戻しに……これってI氏が最初にセットしてくれた値のような(笑)。この状態で、極端に荒れている路面以外は実にスムーズです。小さなギャップならしっかりいなしてくれますし、ステアを切ったら瞬時に反応してくれます。相反する条件下でこれだけ理想に近い動きをするのはありがたいところです。高速道路の継ぎ目等、左右両輪に一気にショックが来る時はいなしきれずに衝撃を伝えてきますが、運動性能向上とのトレードオフと考えれば、納得できるものです。
街中を主体に考えるなら、もうちょっとバネレートを落として……とも考えられますが、そうなると次はストロークが問題となります。同じ荷重でもバネレートを落とすと、それだけサスペンションは動きが大きくなります。つまりストロークが必要となります。ノーマル並みの車高でかまわないと言うことであれば、市販のリプレースダンパーと換装することで、フットワークと乗り心地を両立させることも出来ますが、この場合で言う運動性能は、ノーマルに毛が生えた程度の運動性能しか得ることが出来ません。元々ロードスターは運動性能の高い車ですから、それでも街中程度なら十分面白い仕様ではあります。ただ、バネレートを上げた車両の運動性能を知ってしまうと、なかなかノーマルに近いバネレートには戻れません。また、なによりも車高の高さはルックス的に許せないものがあります(笑)。 てなわけで、車高を下げたい。となると、ダンパーシェルケースの長さが問題となってきます。車高を落とすと、それだけストロークが減るわけで、そのままではまともな運動性能を持たせることが出来ません。自分で弄られる方はよくご存じだと思いますが、サスペンションのストローク量は意外に小さく、ホイール側で30mmもダウンさせてしまうとノーマルのシェルケースではほとんど縮み側のストロークが無くなってしまいます。これではカッコばかりで走行性能は劣悪です。スプリングの仕事率が極端に下がることで、そこらじゅうで跳ね回る、コーナーでグリップしないととんでもないことになります。
そこで、KONI車高調のようなショートストロークを前提としたダンパーが必要となります。これは、バネレートを上げることで運動性能を向上を目指したもので、決して乗り心地の良さを追求しているわけではありません。KONIそのものが複雑な構造で理想的な減衰力を得ているとは言え、前提がハイレートなスプリングですからノーマルと比較して乗り心地が良いわけではありません。下手なローダウンスプリングや常時底付きサスに比べれば遙かに文化的な乗り心地ですが、それでも頭に「ハイレートスプリングを使っている割には」という枕がついて回ります。
理想は「街中で乗り心地が良くて、サーキットではセッティングが楽でタイムの稼げる足」ですが、ひとつのダンパーとスプリングでこれを実現するのは至難の業です。それを、バネの交換が必要だとはいえ、高いレベルでまとめてきたKONI車高調は珠玉の存在です。が、積極的に車を操るタイプのドライバー以外、ただの乗り心地が悪いサスペンションに過ぎません。このあたりを忘れていると、せっかく高いコストを払ってもがっかりすることになります。車の機能部品を交換するということは、より目的に近づけると言うことであって、汎用化を図るものではありません。汎用度は市販状態が最も高いはずです。 | |