| 深夜仕事を終えて駐車場に佇む我がロードスターに乗り込み、エンジンを掛けた。いつものように静かなアイドリングが静寂を波立たせる。オイルプレッシャーメーターがいつもの値になるまで待ち、そっとサイドブレーキを下ろす。
すかっ
へ?手応えが変。いつもの抵抗感がない。おかしいとは思いつつ、発進……す、進まん。エンストこそしなかったが、とてつもない抵抗感。するする走り出すいつもの感じがまったくない。
引き摺ってやがる(--;
人気のない地下駐車場内にいつまでも居残るのは嫌なので、とりあえず通りにまで出よう。途中、フルにブレーキングをくれたり、バックでブレーキングしたり、サイドターン宜しくサイドブレーキを力一杯引いたり戻したりを繰り返すが、いっこうにブレーキ君は戻りそうにない。やっとこさスロープを登り切ったら、なにやらきな臭い。確実にブレーキロック。車外に出て確認すると、右リアだけホイルが熱い。とほほ、夜中だぜ。それに珍しくスーツ着てんだぜ。ど〜するよ。
困った時のI氏だより。すかさず電話。 「あ〜、サイドブレーキ戻ってないんだよ。たまにあるよ」 どうすりゃいーの? 「ホイル外して、キャリパーに付いてるサイドブレーキレバー戻してみ。すぐ治るから」 スーツ着てんだよ。こんなとこで店広げたかないよ。なんか他に案ないの? 「ないねぇ」
とほほ。仕方ないから、シャツを腕まくり。ホイルナットを緩める。前回サーキットを走ってから入れっぱなしになっていた十字レンチがこんなところで役立つとは。無精もたまには役に立つ。車載のジャッキでえっちらおっちらジャッキアップし、ホイルを外す。数時間前までの嵐のような風と雨が止んでいるのが救いだ。 キャリパーを眺めると、サイドブレーキワイヤーが掛かっているレバーが見える。こいつか。戻る方向にちょっと捻ってやったらあっさりブレーキが解除され、一速にシフトしていた車体を前後に揺する。
治ったぁ〜\(^o^)/。すかさずI氏に電話。 「だめだわ、これ。ローダーで迎えに来て」 「まじですか〜」 「嘘だよ〜ん(笑)。治った。サンキュ」
サイドを引くと再度発症する確率大とのこと。その後は、無意識にサイドを引いてしまいそうになる左手を宥めながら、なんとか帰ってきました。また近々下仁田を襲撃せねば。サイドの引けないロードスターは気疲れする。とっとと直して貰おう。
雲の切れ目から星が瞬く晩春の珍事でありました。 | |